しとしとと静かな部屋に雨の音が響く。外を見たわけじゃないからどれだけ降っているかわからないが、さっきよりは随分雨足も弱まっているようだ。

「ん、・・ふ・・っ」

山本はもう何度目になるのか、ツナの口内を犯した。







8. 突き上げる






ツナの身体がこの異物に慣れるまで、山本はただ深い口づけをツナに贈った。

男だから本当はすぐにでも動かしてしまいたいのだけれど、これ以上ツナに痛い思いはさせたくないし泣かせたくはない。ちょっと大袈裟かもしれないけれど、ツナのためなら理性くらいいくらでもコントロール出来る。

長い口づけから唇を離すと、透明の糸が二人を繋いでいた。

「・・ツナ、いたい・・?」

「・・・ちょっと・・・」

「・・動かしてい・・?」

「・・・たぶん・・・」

ようやくツナのお許しが出たので、山本は極力ゆっくり腰を動かした。

「ぁ・・っ」

ツナの反応はまんざらでもないようで、山本のそれに慣れたようだった。山本はホッと胸を撫で下ろす。

「はぁ・・、ん・・っ」

山本の動きは至極ゆっくりで、さっきとても痛そうな顔をしていたから気を遣ってくれてるんだろうなと思った。そんな山本の心遣いに胸がときめいたが、それと同時になんだかちょっと物足りないような気もしてきた。

腰の辺りがじんじんとして、きっとこれが気持ちいいという感覚なんだろうなと思ったけれど、なんだか物足りない。

さっき同じところに指を入れてくれたみたいに動かしてほしい。けれどそれを言ったら、山本にいやらしい奴だと思われそうで、それを口にするのは躊躇われた。

「ん・・っ」

でも山本の動きはまだゆっくりで、自分からそれを言い出さなければきっとしばらくこのままのスピードが続くだろう。





『ツナはさ、遠慮しすぎなんだって。もっと甘えていーんだぞ?俺ら付き合ってんだし』





ふとこの部屋に入ってすぐ言われた山本のセリフを思い出した。

言っていいのかな。やらしい奴だって思われないかな。嫌われないかな。でも・・・、

「・・・・やまもと、」

呼んだ声はあまりにも頼りないものだった。

「ん?」

「・・・・・・・・」

ツナがなにか言いたそうに口をパクパクさせたので、山本は一旦動くのをやめた。

「どした?もしかして気持ち悪い?」

「ちがっ、・・くて・・・、」

「うん?」

「・・・・えっと、・・・あの・・・、」

きっと動かしたいだろうに、山本はツナの次の言葉を待った。その優しさがまたうれしくて、ツナの胸が、きゅう、っとなる。



「・・・もっと・・・、・・・・・・しい・・・」



「なに?」

「・・・・もっと・・・、」

「うん?」





「・・・えと、・・・う、・・うごかして、ほしい・・・・」





「え・・?」

「・・・さ、さっき、・・・ゆび、・・の、とき、・・・みたいに・・・」

ああもうこのまま死んでしまいたいとツナは思った。恥ずかしすぎて死ぬとは、きっとこういうことを言うんだろう。

ツナはもうこれ以上赤くならないだろうというくらいに真っ赤な顔をして、どこを見ていいのかもわからずに目を逸らした。

「・・・・ツナってさ、」

もう嫌われたかも、と思ってツナは目をぎゅっとつむる。

「・・・前から思ってたけど、・・もしかして、天然?」

「へ・・?」

そんなセリフが出てくるとは思ってなくて、思わず山本の顔を見た。少しだけ山本の顔が赤く見えるのは気のせいか。

「・・いーよ。ツナの言うとおりにする」

「あ、の・・っ、」

「その代わり、・・ツナのこと泣かしたらごめん」

「え・・?」

「いくぜ?」

ツナの腰を抱え直すと、山本はまた再び腰を動かし始めた。








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山本に気持ちいいことを教えてもらったツナ。
2007.06.13
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