山本に、今度は激しく口内を犯されたツナは、もう立っているのも辛くなって、山本が唇を解放したのと同時にその場にへたり込んでしまった。

そんなツナに、それ以上のことをしてもいいのかと、ほんのわずかな山本の理性が躊躇したが、ツナが全部をあげると言ったのだから仕方がない。

そのままそこで行っても良かったのだが、ツナの身体のことを考えて、山本はツナと一緒にベッドの上に上がった。







3. 火照る






時計の針はもう7時30分を回っていて、部屋の中はさっきより闇が濃くなった。

けれど、二人ともそれに慣れてしまっていたので、電気をつける必要もなかった。というより、電気をつけようとした山本を、恥ずかしいからという理由でツナが止めたのだが。

「・・ツナ・・」

そっと山本の指がツナの柔らかい紅茶色の髪の毛に触れたのと同時に、ツナがびくりと跳ねた。

「・・こわい?」

こくりと頷いて、ツナは目の前の山本のシャツをぎゅっと掴む。

「大丈夫だよ、ツナ。・・俺も初めてだから」

「・・え・・っ!?」

「え、って。なんの、え、だよそれ」

ツナの反応に山本が苦笑う。

「だ、だって、・・山本、モテるから・・・」

それに普通のキスもさっきのキスも、どう考えたって初めてのものじゃない。とは言ってもそんな経験すらないので、比べる対象がないのだが。

「言ったろ?ツナと初めてキスしたとき。俺、ファーストキスだって」

「えぇっ!?」

「なにその初耳みたいなリアクション」

「ぅ・・だって、緊張してたから、・・・そんなの聞いてる余裕なかった、ていうか・・・」

顔を赤くしてそう言い訳してくるツナに、山本は堪らなくなって思わずぎゅうっと抱きしめた。

「わっ!?やまも、」

「かわいいなぁ、ツナは」

そう言ってそっと顔を近づけると、ツナがゆっくり瞼を下ろす。ツナって睫毛は黒色なんだなとぼんやり思いながら、触れるだけの優しいキスを落とした。

それから少し離れて、ツナに着せたパーカの裾に手をかける。

「や・・っ」

「・・いや?」

「ち、が・・っ」

「なんだよ、さっきは俺のこと誘ったくせに」

「あ、れは・・っ」

「ん?」

「・・や、まもとが・・、」

「・・俺があんなこと言ったから?」




『・・・どーやったらツナのぜんぶ、俺だけになんの?』




「そ、れもある、けど・・」

「けど?」





「・・・山本に、・・嫌われたく、なくて・・・」





あぁもう、この子は本当に。

もう一度山本はツナをぎゅうっと抱きしめる。さっきよりも強く。

「あーもう!なんでそーゆーかわいいことばっか言うかなぁ、ツナはっ」

それからぐしゃぐしゃとツナの頭を撫でた。

「わわっ!?」

「俺がツナのこと嫌いになるとか、ありえねーから」

「えー」

「信じてねぇな?」

くすりと笑って山本はさっきと同じように、触れるだけの優しいキスを落とす。







「・・好きだよ、ツナ」







囁くように告白されて、ツナの耳の奥がぞくりと震えた。

ぎゅう、と胸がしめつけられるように痛くなって、切なくなって、なんだか泣きたくなった。うれしいはずなのに、どうして。

「・・俺も、・・山本が、すき・・」

呼吸もままならなくなってきて、目頭が熱くなる。

「うん、ありがとな」

優しく微笑んで、ツナの頭をぽんぽんと撫でた。それがまた胸を苦しくさせて、泣きそうになる。

「・・、やまもと・・」

「ツナ・・」

そっと唇に触れたあと、山本の舌がそこに入ってくる。

「ん・・っ」

甘いはずのそれは、なぜか少しだけしょっぱかった。








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どんだけちゅーばっかすんだよ!おまえら!
2007.05.26
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