3. 火照る



ねっとりと絡みついてくる山本の舌は、ツナの腰を震わせた。

「・・はぁ・・・」

なぜそうなるのかよくわからないけれど、もっとして欲しいと思った。けれどそれを自分から言うのは恥ずかしくて、というよりそれを言って山本にいやらしい奴だと思われたくなくて、言えなかった。

「・・もっとツナに触ってい?」

互いの荒い呼吸が唇にかかるほどの距離で、山本はそう聞く。

「てか触りたい・・」

至近距離で囁くように、山本にそう言われては断れるはずがない。ツナはこくりと頷く他に知らなかった。

山本は、ほ、と安堵の息をついて、そっとパーカの中に右手を入れる。指先がツナの滑らかな背中を捉えた。その刺激にツナはびくりと跳ねて、山本のシャツをぎゅっと掴む。

「こわくないよ、ツナ・・」

こくんと頷いたツナに、山本は、ちゅ、とオデコにキスを落とした。

山本の手がツナのわき腹を滑る。

「なんか、・・くすぐったい・・」

「そっか?・・・・じゃあ、ここは・・?」

親指が、胸にぽつんと付いていた小さな突起に触れた瞬間、ツナはまたびくりと跳ねる。

「・・・っ」

小さなそれは触っただけでもわかるくらいに、ぷっくりと自身を主張していた。

「ツナ、俺のキスで感じてくれたんだ・・?」

うれしくなって、爪で引っかくように触れると、ツナは小さく声を上げる。

「ツナ・・」

耳元で囁いてそのまま唇を首筋に滑らせる。着せたパーカがツナのサイズに合わなかったせいで、首元から覗いた鎖骨に、ちゅ、と吸いついた。

「ん・・っ」

ちり、と小さな痛みを伴うそれはすぐに離れた。それでも、ツナの肌が元から白いせいか、わりとくっきりと桜色を残した。

「俺のしるしつけちった」

うれしそうに、にかりと山本は笑う。

「・・しるし・・?」





「きすまーく」





低く囁かれてぞくりとする。

「ぅえ・・っ!?」

「大丈夫だって。一応見えないとこにしといたから」

「うぅ・・」

キスをされて身体を触られて、それにキスマークを付けられて。もう自分の身体じゃないように感じる。

山本を意識し始めて、触られるだけでドキドキと顔が熱くなってしまうのに、そんなことをいっぺんにされてしまうと、もう自分の身体が自分のものじゃないような気がしてきた。



「ツナ・・、」



囁くように呼ばれて顔を上げると、山本の端正な顔が目の前にある。







「一緒に、・・俺と一緒に、おとなになろうか」







「・・おと、な・・?」







そんなセリフと一緒に山本の真っ直ぐな瞳で見つめられ、身体中がぞくりと震えてそのあと一気に熱いほどの熱が走った。











もっと山本に触らしてあげればよかった。
2007.05.29
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