「あった!」

「えっ!?」

ある日いつもの公園で、たけしくんと一緒によつばのクローバーを探した。

「ほら!」

「わぁ・・!」

見つけたのはたけしくんで。

「これ、やるよ」

「え、でもたけしくんが・・」

「いーって」

それを俺にくれた。

「でも・・っ」

「おれとともだちのしるし、な!」

そんな言葉と一緒に。

「・・ありがとうっ!」




俺はそれを今でも持っているんだよ。

小さな画用紙に貼りつけて作った、小さなしおりにして。

不器用だから見てくれは変だけど、それは今でも大切なたからものだから。
















8 海















別に思い出してくれなくてもいい。忘れていても構わない。

初めて出来た友達と初めてケンカをして初めて仲直りをして、またもう一度、今度はともだちから始めようって。

それだけでうれしかったんだから。俺は。





だから最初、なにが起こったのかわからなかった。





「・・・ツナだな」



もうすっかり慣れた山本と二人きり。西日が射す静かな教室で、山本が突然声を発したのでツナは驚いた。

「なにが?」

「武でいーよ、ツナ」

「へ?」

山本は一体なにを・・・?

「やま、もと・・?」

「ツナ、」

「な、なに・・?」

「四つ葉のクローバーって知ってる?」

なにを言っているんだろう、山本は。

「・・よ、つばの、クローバー・・?」

どうして急にあの日と同じセリフを。

「うん。それ見つけると、幸せになれるんだって」

なにを言ってるの?忘れてるんじゃなかったの?

「・・・・・・・・」

俺は一体どうしたら・・・、

「・・・ごめん、ツナ。なんでも、」







「・・・・・そ、・・・・・そんなすごい花が、あるの・・?」







気づいたら、そう勝手に口が動いていた。












山本が思い出したのは、つい昨日。俺の家に来てアルバムを見てちょうど俺たちが出会った頃くらいのときの写真を見て思い出したんだそうだ。

「まさかこんな近くにいたとはな」

帰り道、山本は少し苦笑しながらそう言った。

「うん」

山本があの、俺と過ごしたわずかな時間を思い出してくれた。なんでこんなに山本は、俺を喜ばすのがうまいんだろう。

「これってさ、運命なんじゃね?」

「運命?」

「ツナと俺は出会うべくして出会ったっていうさ」

「なにそれ」

中学生の、しかも友達同士で到底使う言葉ではないくさいセリフを言った山本に、思わずくすりと笑ってしまったけれど、あながちそうじゃないのかもな、とも思った。

小学生の、ほんのわずかな時間を過ごしたともだちと、同じ中学校の同じクラスで、またあの頃と同じようにともだちになれることなんて、そうそうないんじゃないかな、と、そう思う。

「ツナは運命とか信じねぇ?」

「えー」

運命かもしれないね。

思ったけれど恥ずかしいのでそれを口にするのはやめておいた。

けれど、もしこれが運命と言うのなら。





これからもずっと山本のともだちでいれることも、運命だといいなぁ。





なんて。

それも恥ずかしかったから言わなかった。








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運命に決まってんだろ!(なに)
2007.05.12
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