「ん・・っ」 ぱちり、とツナが目を覚ますと、視界には自分の部屋のものではない天井が見えた。 「わっ!?」 がばりと勢いよく身体を起こすと、オデコから濡れたタオルがぽとりと落ちた。 10. 眠る 「あ、起きた」 「山本っ!?」 山本の顔を見た瞬間、ここが山本の部屋だとかそこでなにをやっていたかだとか気を失ってしまったことだとか、全部を一瞬で思い出して、ツナは思わず素っ頓狂な声を出してしまった。 「大丈夫か?ツナ」 「えっ、あ、・・うん」 「そっか。よかった」 ふとツナは自分が山本の服を着ていることに気づいた。さっき落としたタオルも濡れているようだし、もしかして、汗とお互いの体液で汚れた身体をキレイにしてくれたのも服を着せてくれたのも濡れたタオルを乗せてくれたのも、全部山本がやってくれたのだと気づいた。 「・・あ、の・・ありがと・・・」 「ん?」 「・・服、とか、タオル、とか・・・」 「ん、いーよ」 にこりと笑った山本に、ツナは胸がぎゅう、と、 「・・・・・・きもちわるい。」 「は?」 「きもちわるい・・」 う゛っ、と口に手を当てたツナに、慌てて山本はツナの背中を擦る。 「気持ち悪いって、」 「・・おなか、いたい・・」 今度は苦しそうにお腹にまで手を当てたツナに、山本はますます慌てる。 「ツナ・・っ」 「うぅ・・っ」 「っ、ちょっと我慢してな?すぐトイレ連れてってやっから」 出来るだけツナの負担にならないように担ぐと、山本は急いで部屋を出た。 ジャーッと水を流した音と一緒に、ツナはトイレの扉を開ける。トイレの前では山本が心配そうな顔をして待ってくれていた。 「ツナ、大丈夫か?」 「うん、なんとか・・・」 へへ、と笑うツナの顔は蒼白くて、やっぱりどこか調子が悪そうだ。 「・・ごめんな?・・・たぶん、俺のせいだ」 「なんで山本が謝るの?」 「だって思わず我慢出来んくて、ツナの中に出しちまったし」 「出したってなに・・・・・、」 言いかけて、ほんの数時間前のことを思い出してツナは思わず顔を赤くした。 「たぶんあんなモン入れられて、ツナの身体がびっくりしたのな」 苦笑しながらツナの頭をぽんぽんと撫でる。 「・・ち、ちがうよ!山本のせいじゃないよ!・・・俺が、初めて・・だったから・・・」 そうだ、山本のせいなんかじゃない。自分のせいだ。あんなことをするのが初めてだったから。絶対そうだ。 「あんまりかわいいこと言うなよー?」 うれしそうに笑って、またツナの頭を撫でる。 「一緒に風呂入るか、ツナ」 「はっ!?」 「一応身体拭いたけどさ、そのまんまで寝んの気持ちわりーだろ?」 そう言ってツナの手を取る。 「そ、そうかもしんないけど、・・ひ、一人で入れるし!」 「だーめだって。あと身体ん中の、全部出さねーと。また腹痛くなるかもしんねーし」 「身体の中の、って・・?」 山本はツナの耳元に唇を寄せて、まるで内緒話をするみたいな声でそっと囁いた。 「おれの愛。」 そのあとにっこり笑う。 「な・・っ!?」 「親父が風呂沸かしといてくれて助かったぜ」 「・・バカ本っ!!絶対一人で入るっ!」 「だーめ」 「離せっ!」 「やだねー」 そうして、嫌がるツナをムリヤリ引っ張って、山本は風呂場へ向かった。 next |
一緒に入って洗いっことかすればいい。 |
2007.06.22 |