17時22分、科学室の前で

 

「じゃあ沢田、山本、頼んだぞ」

「は〜い」

「うぃっす」

 

オレたちが現在いるのは第一科学室。

そこで山本と二人、掃除をしている。

そのわけは、30分ほど前にさかのぼる。

 

この間やった追試が返ってきた。

結果は…見事追々試決定……

しかも、オレと山本だけ。

さすがの先生も、二人だけに追々試の問題を作るのがだるかったのか、そのかわりに、普段あまり掃除がされていない科学室の掃除をさせられることになった。

所謂バツ掃除ってやつかな。

でも、またテスト受けさせられるよりはマシかも。

 

「ラッキーだったな、ツナ。またテスト受けさせられなくて」

「ホント、そうだよね」

山本も同じことを思っていたらしく、二人して笑いがこぼれる。

「でも、山本。この分じゃ今日は部活無理だね」

時計の針は16時45分を過ぎたところ。

最近は物騒だと言うことで、部活に時間は17時までだ。

片付けを含めても17時半には完全下校ってことになってる。

結構広い科学室、とてもあた数分で終わりそうにはない。

「ん〜、仕方ねぇよ。それに、俺はツナ二人っきりで嬉しいぜ」

二カッと白い歯を見せながら山本が笑う。

「や、山本っ」

かぁ〜っと赤くなるオレの顔。

オレたちは2週間前、世間でいうコイビトになった。

そうは言っても、今までとあんまり変わらない感じだったのであまり意識してなかったけど…。

そう、よく考えたら今は二人っきり。

自覚した途端、嬉しいような、恥ずかしいような気持ちになってくる。

「ツ〜ナ、恥ずかしいの?真っ赤だけど」

「う、山本の意地悪…」

「はは、悪ぃ悪ぃ」

そういいながらオレ頭をポンポン叩く山本。

全然悪いなんて思ってないくせに!

でも、そんな風に頭を触られるのは心地よくて、許してしまう。

ああ、オレ、ホントに山本のこと好きなんだなぁ。

やば、また真っ赤になりそう!

二人でいられるのて嬉しいけど、心臓に悪いよっ。

早く掃除終わらせて帰ろう。

「ほら、山本!早く掃除終わせなきゃ、下校のチャイム鳴っちゃうよ」

「ん〜、俺としてはこのままツナと二人でいたいけど?」

「も、もう!変なこと言ってないで掃除掃除!!」

「はいは〜い」

ホント、なんで山本ってあんなことさサラッと言えるんだよぉぉ。

いてもたってもいられなかったので、さっさと掃除を済ませることにした。

時々、山本の視線を感じたことがあったけど、気づかない振りをした。

だって、今山本の顔見たら、ますます真っ赤になること間違いなしだからね。

 

 

「ふぅ、こんなとこかな」

「だな」

あれから黙々と掃除をし、17時20分になるころにはなかなか綺麗になっていた。

「もうすぐ下校時間だしね。山本、今日は一緒に帰れる?」

「当たり前だろ?俺は初めからそのつもりだぜ」

「そっか。へへっ」

久しぶりに山本と帰れる、嬉しい!

窓が閉まっていることを確認して、科学室から出た。

「よし、忘れものナシっと」

じゃあ帰ろう、そう思って歩き出そうとすると――

「ツナ、忘れもん」

「え、何をって、うわぁっ!」

いきなり山本に腕をつかまれて、そのまま山本の方へ引き寄せられた。

「山本?どうし、ん?んんっ」

気がつくと目の前に山本の顔があった。

あ、思ったより睫毛長いなぁって、オイ!

なんで、なんで?今、オレどうなってるわけ?

どうもどうも、オレの口に当たっているのは山本の口で。

こ、コレって、もしかして。

オレ、キスされてるぅ!?!?

「…ぅっ、ぷはっ、はぁ、や、山本ぉぉ」

「ごめんツナ、いきなり。でも我慢できなかった」

いつもよりちょっと余裕のない山本。

「はぁ、びっくり、した…」

まだ息が整わないオレ。

「なんかさ、二人っきりだって思ったらどうにも我慢できなくってさ。ホント、ゴメンっ!!」

「あ、誤らないでよ、山本。オレも、その、嬉しかったし」

うわぁぁぁ〜、オレ、今とんでもないこと言っちゃったよぉ!

「ツナ…」

山本がオレを見つめてくる。

ああ、やっぱり大好きだ。

山本の目も、オレが好きだって言ってくれてる。

だから……

「山本、今度はその、ちゃんと言ってね。オレも心の準備あるし」

「おう!じゃあさ、今、いい?」

「え!?う、うん、いいよ…」

山本がオレの肩にそっと触れるのを合図に、オレは目を閉じた。

 

オレたち以外誰もいない廊下。

17時22分、科学室の前。

オレたちのファーストキスの場所。

 

きっと、一生忘れられない、思い出の場所―――











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山ツナ祭、なんて素敵な企画なんでしょうっvv
山ツナのファーストキス物語です。なんか、タイトルがあまり反映できなくて申し訳ないのですが…。山本は黒いけど、ちょっと余裕ないときもある、だって中学生だから…みたいなイメージで書いたつもりです。意味不明で本当スイマセン。


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主催者からのいらないコメント>>

山ツナのファーストキス物語、ありがとうございます!なんだかとても初々しくて、見ているこちらの方が恥ずかしくなってしまいそうです(笑)ごちそうさまですv
付き合いたてほやほやのかわいい山ツナ、ありがとうございました!! (野愛)


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ツナが健気でかわゆいのですv


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