見てるこっちが恥ずかしいと言うか、こいつら分かってやってんのかと思わずにはいられないっつーか・・・て言うかどっか余所でやってくれないアンタたち、頼むから。
教室の真ん中、二匹で戯れているおサル――もとい、沢田と山本の姿を見てると、ついそう言ってしまいたくなってくる。
こいつら見てると、何だか無性に疲れを感じるのは、あたしだけなんだろうか。























  周りから見て






















確かに沢田と山本は友達同士だ。
山本の自殺未遂事件(もっとも、あれは事件でも何でもなく、山本のパフォーマンスだったってことになってるけど)以来、二人はいっつもつるんでて、その仲の良さには「何でダメツナと山本が?」ってクラスメイトも首を傾げるくらい。
まああたしからすれば、別に仲良くて良いんじゃないかと思う。
誰が誰と仲良くしようが、それは周りがとやかく言うことじゃないでしょ。
だからそこに疑問を感じることはないけれど、普通の“トモダチ”として、それは間違ってんじゃない?と思うところも多々あるのだ。
ほら、現に今だって。





 「ツナ、今日の放課後、何かある?」

 「ううん。今日は珍しく補習ないんだよね!だから帰って、まだクリアしてないゲームでもやろうかなって」

 「オレも部活休みなのなー。折角二人で帰れんだからさ、帰りにどっか寄って帰んね?放課後デートしよーぜ」





おい山本、アンタは友達相手にデートしようって当たり前のように言うのか。
相手が女なら兎も角、沢田に言ってるって・・・沢田は男だぞ、男!
思わず大声でそう言ってしまいたくなる。


そりゃまあ沢田は、下手すればそこらの女子より可愛いかもしんない。
母親似らしくて、男らしさってより、女の子みたいな雰囲気があるし。
結構肌も綺麗なんだよ、ニキビとかないんだアイツ(女としてはちょっとやるせない感じがあるな。沢田の癖に何か少し悔しい)。
見てて溜め息吐きたくなるようなダメダメさも、何かほっとけないんだよね。
分かりやすく言えば沢田って、「守ってやりたくなる」ようなタイプなんじゃない?
そう言うのが堪んない奴とかいるんでしょ。・・・あの鬱陶しいくらい笑顔浮かべてる馬鹿とかさ。





 「デートって・・・」

 (まあそれがフツーの反応だわね)

 「そ、デート。何か学校の近くに、美味いアイスクリーム屋があるらしーぜ?最近暑くなってきてっし、アイス食って帰るのも良いだろ」

 「うーん・・・オレ今小遣いピンチでさあ、出来ればコンビニとかの方がありがたいんだー」

 「んじゃ、角のコンビニ寄って帰っか」

 「うん。折角誘ってくれたのにごめん、山本」

 「謝らねーで良いって。ツナと一緒なのが嬉しいんだからよ」





・・・山本、その顔は止めろ。
アンタのその笑顔、周りから見てると、爽やかどころか下心ありありなんだよ。
他の女子からは爽やかイケメンで通ってても、同年代の男子はただのおサルだと思ってるあたしからすれば、胡散臭い笑みにしか見えない。
ところが、少々ウンザリしてるあたしとは対照的に沢田は、





 「な、・・・は、恥ずかしい台詞、あっさり言うなあ、山本は・・・。うん、でも、ありがとう」





山本の胡散臭い笑みに、少し頬を赤らめてふんわりと笑った。
それは少し離れた場所にいるあたしから見てもすぐに、沢田がどれだけ山本のことを慕ってるかとか、そういうことが伝わってくるような表情。
山本はと言えば、そんな沢田の表情に何を思ったのか(大方見とれてたんでしょ、あの顔だと)、幸せ全開って言うような笑顔を浮かべてた。
あーあ、何なのこいつら。
付き合って数週間のカップル?男同士で?
まああたしはそれほど同性間の恋愛に対しての偏見は持ってないけど、自分たちがどんな風に周りから見られてんのか、少しは自覚して欲しいわ。
あんまり教室でベタベタされたり、あの野球馬鹿が気持ちが悪いくらいニヤけた顔してるの見てると、精神的に疲れるんだよ、ホントにさ。


そんなことを思いながら、あたしははあっと溜め息をひとつ吐き出した。
そしたら何か知らないけど、山本がじっとこっちを不思議そうに見て、「どうかしたのか、黒川?何かスゲー疲れた顔してんぜ」と言いやがる。
沢田もきょとんとした表情であたしを見ていて、頭を抱えたくなった。
アンタたちの所為だよ、あたしがこんなに疲れてるのは!特にそこのだらしない顔した野球馬鹿!





 「アンタたちさ、もうちょっと自分たちがどう見られてんのか考えな」

 「は?何、どういう意味だよそれー」

 「知らねーよ。頭に詰まってるちっさい脳みそで考えてみたら」





それだけ言って、こちらから顔を背けてやると、「ははっ、面白ぇーのな黒川って」と笑う男。
やってらんないと思って、最近お気に入りの小説でも読もうと、栞を挟んでおいたページを開く直前、





 「そーだツナ、折角なら別々のアイス買って、一緒に食べさせ合いっこしよーな!」

 「う、うん・・・///」





いい加減にしろってのこのアホカップル!!









   END










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☆あとがき☆
 こんにちは、東城時雨です。今回、63. 「周りから見て」でSSを書かせていただきました。
 一度花ちゃん視点で書いてみたかったので、花ちゃんから見た山ツナという感じで。
 余談ですが、この後の展開で、花ちゃんが京子ちゃんに放課後一緒に帰ろうと誘われて、嬉しそうに笑う京子ちゃんの「嬉しいな、花と放課後デートなんて、久しぶりだもん」 の言葉を聞き、(あたしもあの二人のこと言ってらんないかも・・・)と悩み込むという、花京的展開を考えてました(・・・)。
 山ツナってホントに良いですね!書いていると本当に幸せな気持ちになれます。
 それでは最後に・・・やまつなまつり。万歳っ☆


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花ちゃん視点の山ツナ、大好きです。見ていてこちらが幸せな気持ちになりましたv
余談の花京的展開、ごちそうさまです。花京も大好きなのでv楽しかったです(私が)
山ツナ祭り万歳!アホカップル万歳!(笑)ありがとうございました!! (野愛)


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山ツナがとにかくかわいいんですよ。


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