7. 交わる



「・・やまもと・・?」

もうすっかり慣れてしまった暗闇の中で、見下ろす山本の瞳が一瞬ぎらりと光ったような気がして、ツナは急に不安になった。

「ツナ・・」

荒い息を吐きながら少し潤んだ瞳で、不安そうな表情で見上げてくるツナにぞくぞくする。

「・・いい?・・ツナ・・」

「ゃ・・っ、」

なんだか無性に恐くなってすがるように山本の腕に手を伸ばした。

「大丈夫、ツナ。・・俺がついてる」

今にも泣き出しそうなその瞳にそっとキスをして、ツナの細い足を開いた。それからゆっくり足を上げて、さっきまで指を入れていた場所へもうすっかり勃ち上がったそれを宛がう。するとツナはびくりと震えた。

「やまもと・・っ」

安心出来る山本の温かさが欲しくて、名前を呼んだ。

「・・いくぜ?ツナ・・」

その先端をそこにゆっくり入れる。さっきほぐしたので大丈夫かと思ったが、思ったよりきつい。

「や・・っ!?」

一番最初に指を入れられた痛みより比べものにならないほどの痛みで、山本の名前を呼ぶことさえ出来ない。

「きつ・・っ」

それでもこれを入れてしまわないことにはどうにもならないので、山本は出来るだけゆっくりツナの中へ侵入した。



「・・っ!!?」



まるでこのまま身体を真っ二つに裂かれるような激痛で、ツナは悲鳴ともなんとも言えない声を上げた。

ツナの中は、山本のそれを押し出すようにきつくきつく締め付ける。ツナだけが痛いと思っていたがまさか自分まで痛くなるとは思わなくて、山本は予想外の痛みに眉間に皺を寄せた。

ツナは声も出せずに、ただ山本を探した。ぎゅっと目をつむっているせいで、山本が見つからない。手を伸ばしても宙をさまようだけで、山本には触れられない。

なんだかこの暗闇の中、自分ひとりだけのような気分になってこわくなった。

痛い。いたいよ、山本・・・助けて・・!

声に出したいのに、音に出来ない。ツナの目から涙がこぼれた。

そこで、山本を求めて宙をさまよっていたツナの手を、山本が掴む。





「・・ツナ、・・俺は、ここにいる、から・・・」





苦しそうに息を吐いて、山本はツナの耳元に唇を寄せた。ようやく山本を見つけることが出来て、ツナは山本の首に手を回す。

「だから、な、・・とりあえず、息しろ?」

そこで初めて自分が呼吸をしていなかったことに気づいた。

「ゆっくり、で、いいから・・」

そう言って頭を優しく撫でてやると、ツナはゆっくり息を吐いた。

「・・それから、もうちょっと、力抜いて・・?」

力を抜けといわれても、こんな異物を入れられたままでは抜けられない。ツナは首を横に振った。

「ツナ、頼むよ・・。俺も、痛ぇの、な・・?」

苦しそうにそう囁かれて、ツナはゆっくり目をあけた。涙でぼやけてよくは見えないが、山本も痛そうな顔をしている。

「・・ツナが、慣れるまで、動かねぇから、さ・・」

苦しそうに、でもにこりと優しく笑った山本に安心して、さっきより少しだけ力を抜くことが出来た。

「ツナは俺より、痛ぇもん、な・・・ごめんな?」

山本の温もりをようやく感じることが出来て、さっきまでの恐怖と不安が徐々に溶かされていく。

「・・や、ま、・・も、と・・」

「こわくねぇから。・・ツナ」

また安心する笑顔でにこりと笑ったあと、涙をこぼすツナの目尻にそっとキスを落とした。











山本はツナに優しすぎるといい。
2007.06.10
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