6. 舐める 「・・っ!?」 山本の口内は熱いくらいに柔らかくて、さっき手で撫でられた刺激とはまったく違った。気持ちいいのかどうなのかもわからなくて、涙が溢れた。 「ひぁ・・っ!」 口からは、まるで自分のものじゃないみたいな声が溢れる。その声は女の子みたいで、そんな声を山本に聞かれたくなくて、ツナはぐっと唇を閉じた。 「・・ツナ、・・声、聞かして・・」 山本はそう言ってくれたけれど、でも恥ずかしくてツナは首を横に振った。 仕方がないので、山本はツナのそれを下から上に向かってつーっと舐めた。 「ん・・っ!?」 山本がそれに舌で刺激を与えるたびに、ツナの身体の中をびりびりと電流が流れる。もう口をつぐんでいることも困難になってきて、ツナは口を開いた。 「あっ、ふ・・っ!」 山本はそれをまるでアイスキャンディーでも舐めるみたいに、丁寧に丁寧に舐める。 「やぁ、ぁ・・っ!?」 溢れ出した声は止まらなくて、その声がまた山本を刺激する。 今までに与えられたことのない刺激に、ツナの頭の中は真っ白になっていく。これ以上与えられたら頭がおかしくなってしまうんじゃないかと思って、抵抗するように山本の黒い髪の毛を引っ張ったけれど、まったく手に力が入らずにその抵抗は未遂に終わった。 「あ、うぅ・・っ!」 さっきと同じように、でもさっきとは違う大きな波が押し寄せてくる。 「ゃ、・・あぅ・・ぁっ」 もう「山本」と呼ぶことも出来ない。それを察してか、山本はそれを口の中に収めると、口をすぼめて勢いよく吸った。 「・・っ!!?」 どんっ、と雷でも落とされたみたいに、身体に電気が走る。一瞬呼吸が出来なくなって、頭の中が真っ白になって、そこから二度目のそれを吐き出した。 「ひぁぁ・・っ!?」 「ぅぐっ!?・・げほ・・っ」 山本はそれをごくんと飲み込んで、口からこぼれたそれを親指で拭う。それから、肩で息をしながら虚ろな目をしたツナを胸に抱いた。 「・・さっき、の、・・のん、だ、・・の・・?」 「あー、飲んじったなー」 結構まじかったけど、と苦笑した。 野球部の先輩から借りた、というかムリヤリ借りさせられたエロビデオの女優は、心底おいしそうに飲んでいたのに。だからきっとおいしいものだと思ってたけどホントは違うのな。 あ、でも好きな人のだったらおいしいんかな。だったら俺、ツナへの愛がまだ足りてないんかも。 そんなことを思いながら、苦しそうに息をするツナの背中を撫でる。ツナの背中はすべすべで気持ちいい。 「・・お、なか、・・こ、わす、よ・・?」 「へーきへーき、ツナのだし」 さっきと同じセリフを吐いて、ぐすっと鼻をすすったツナの涙を指で拭ってやる。 「気持ちいかった?」 「・・・・よく、わかんない・・・」 「ははっ、初めてだもんな」 ぽんぽん、と頭を撫でる。こうしてツナとひっついて、さっきのツナの声を聞いて、また山本の下半身が熱くなった。 あぁ、どーやってこれから先へ持っていこう。ツナはだいぶ辛そうだし。 そんなことをぐるぐる考えていたら、ツナが先に口を開いた。 「・・・や、やまもと・・・」 「ん?」 「・・あの、・・まだ、終わり、じゃないんでしょ・・?」 「なにが?」 「その、・・・・・・・せ、・・っくす・・・」 「え・・?」 「・・き、きもちよかった、とか、は、・・・よく、わかんない、けど・・・」 「・・・?」 「あの、えっと、・・もっと、山本、に、・・さわってほしい、って、いうか、・・・俺、も、・・山本、に、・・・・さわりたい、っていうか・・・」 あー!俺なに言ってんだろ!と耳まで真っ赤になった顔を両手で覆ったツナに、山本はぽかんという顔を返した。 ツナがさわってほしいって、俺に。 ツナがさわりたいって、俺を。 ツナ、それは反則だぜ? そんなにかわいいことを言ってくれると、本当にこのまま壊してしまいたくなる。 「いいの・・?ツナ」 こくん、と頷いたツナの耳元にそっと唇を寄せる。 「・・ツナ・・、そのセリフ、撤回効かねーから」 低く囁いた。 |
ツナだって山本に触りたいんです。 |
2007.06.06 |