ジジジ、とズボンのファスナーを下ろす音がやけに大きく響く。

山本のそこから出てきたそれに、ツナは息を呑んだ。







5. 撫でる






「・・お、っきい・・・」

思わずツナはそんな感想を口にしてしまった。山本のそれは自分のものとは比べものにならない代物で、その大きさに、やっぱり男の子なので少なからずショックを受けてしまった。

「そっか?」

こちらも男の子なので、やっぱりそんなことを言われればうれしい。それが自分の好きな人からの言葉ならなおさら。

「うん、すごいね・・」

軽くショックは受けたが、自分と身長があれだけ違うとここの大きさも違うのか、とツナは感心した。

「・・俺、どうしたらいい・・?」

見ているばかりじゃいられない。山本はさっき自分が出したのと同じものを出したいのだ。

すぐにでも出させてあげたかったけれど、あいにく自分にはそういう知識がまったくなかったので、山本に聞くしかなかった。

「とりあえず、・・俺の触れる?」

同じ男のそこを触るなんてツナも抵抗があるに違いない。けれどツナに触ってもらえなければ意味がないので、山本はツナの顔色をうかがいながらそう聞いた。

「う、うん・・」

そ、と山本のそれに手を伸ばす。指先にそれが触れた瞬間、思わずツナは手を引っ込めた。

「ご、ごめ・・っ」

「いーよ。・・てか、嫌だよな、こんなん触るの」

「そ、そんなことない!山本のだったら平気、だから・・!」

そう言ってもう一度山本のそれに手を伸ばす。一瞬触れるのを躊躇って、そっと山本のそれを手のひらで包んだ。

それは生温かく、小さくどくどくと脈打っている。山本の身体の一部なのにそうじゃないような、なんだか変な感じがした。



「・・っ」



あやうく、ツナが自分のそれに触れているという事実だけで、出してしまいそうになった。

「・・いたい・・?」

触れた瞬間、険しい顔をした山本に不安になる。

「ん、・・ちょっと、な・・」

「えっ、お、俺、どうしたらいい!?」

さっきの自分の感じた痛みを思い出して、ツナは少し慌てた。

「さっき、・・俺がしたみたいに・・・」

「え、えっと、・・こう・・?」

ゆるゆると山本のそれを撫でるように上下する。

「・・はぁ・・、そう、ツナ・・」

心配そうに自分の顔を覗き込んでくるツナの顔、ぎこちなくゆるい刺激を与えてくれるツナの小さな手、山本のそこはすでに限界だった。

「ど、どうしよう・・。山本、大丈夫・・?」

苦しそうな顔をする山本が心配になって、ツナの手の動きは無意識のうちに早くなっていく。

「ん、・・てか、ツナ・・・それ、やばい・・・」

「や、山本、いたい・・?」

「あ、・・はぁ・・っ」

ツナから与えられる刺激はゆるくて、ただ上下に擦るだけの単調な動きだったけれど、それはずっとツナにして欲しかった行為だったので、山本はいつも以上に登りつめるのが早かった。

「山本・・」

早く楽にしてあげたくて、ツナの手の動きが早くなる。

「・・出、そ・・ツナ・・っ」

さっき自分がそれを出してしまいそうになったとき、山本がそうしてくれたように、ツナは山本のその先端を爪で引っ掻いた。とはいっても、まったく加減がわからなかったので、本当に掠める程度に軽くなのだが。

「く・・っ!?」

それでも山本にとっては十分すぎるほどの刺激で、山本はツナの小さな手のひらにそれを吐き出した。

「はぁはぁ・・」

やべぇ・・、今までのとか、比べものになんねーかも・・・

「山本・・っ、」

「ありがとな、ツナ。ちゃんとやってくれて」

こつん、とツナのオデコに自分のオデコをひっつける。

「大丈夫・・?」

「ん」

ようやくいつもの山本に戻ったみたいで、ツナはホッと胸を撫で下ろした。

「ごめんな。ツナの手、汚しちゃったな」

さっき自分のそれを扱いていた手を取って、ティッシュで丁寧に拭き取ってやる。

「ううん」

でもツナに嫌がられなくてよかった、と山本が安堵したときだった。







「うれしいな、俺のぜんぶ山本にあげられて」







「・・・・・・は?」

うれしそうに笑うツナに嫌な予感がした。

「・・ぜんぶ、ってさ、・・・ツナ、これで終わりだと思ってる・・?」

「?違うの?」

「・・ツナ、セックスって知ってる、よな・・?」

「えっ!?・・う、うん」

だよな、それくらいツナだって知ってるよな。







「・・さ、さっきみたいなの、・・することでしょ?」







「・・・・・・・・」

その瞬間、山本は盛大な溜め息をついた。

マジで?マジでか、ツナ。

「えっ、ど、どうしたの!?」

まさかツナがそこまで無知だったとは・・・。つーか、もしかして俺、今日を逃してたら当分ツナとセックス出来なかったってことか?

「・・・ツナ・・・、そのオチ、ありえねーよ・・・」

「オチ?なに?え、俺なんか変なこと言った!?」

言ったよ。言いましたよ。世の中の彼氏が彼女から言われたら、すげー衝撃を受けるようなことを言ってくれましたよ。

ひとつ溜め息をついて、山本はツナの頭をふわりと撫でた。

「・・あのなツナ、さっきのはセックスって言わねーのな」

「え、そうなの!?」

手触りのいい髪の毛を梳きながら、山本は頷く。

「そ、そうなんだ・・・。俺なんにも知らなかった・・。なんか恥ずかしい・・・」

ツナの頭はふわふわでいい匂いがする。



「・・なぁ、ツナ・・」



顔を上げたツナの唇にそっとキスを落とす。







「俺がホントのセックス教えてやるから、・・代わりにツナのぜんぶ、俺にちょうだい」







ツナの瞳に映る山本はひどく大人びていて、声を出すことも頷くことも出来なかった。











ツナが無知過ぎますか・・・?
2007.06.02
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