4. 強張る



「ゃ・・っ」

片手で十分収まるそれは、もう先端からとろりと涙を零していた。

ゆっくりと撫でるようにそれを上下させる。そうするたびにツナは溜め息に似た、熱い息を吐いた。

「・・ぅ、ん・・っ」

山本の、マメだらけの大きな手のひらがそこを擦るたびに、いやらしい水の音が響く。自分のそこから漏れるそんな音を聞くのが嫌で耳を塞ぎたかったけれど、身体はまったく言うことを聞いてくれなかった。

頭の中がちかちかして、腰の辺りがぐらぐらして、もうなにも考えられない。

「はぁ・・ぁ・・っ」

「ツナ・・」

耳元で囁く山本の声は熱く、かかった息は荒い。

徐々にそのスピードが早くなって、いよいよなにも考えられなくなった。なんだか大きな波に飲み込まれそうになって、息が出来ない。すべての血が、今山本の手のひらの中にあるそこに集まっていくような。

「やま・・っ」

「ん?」

「・・なんか、・・でちゃぅ・・っ」

「・・出していーよ」

そうは言うが、そこから出るものなんて一つしか考えられなくて、それはとても恥ずかしい行為で。しかも山本の前でなんて。

ツナが躊躇っていると、山本はツナのその先端を爪で引っ掻いた。



「っ、ひゃぅ・・っ!?」



瞬間、一瞬で頭の中が真っ白になって、それと一緒にそこから熱いなにかを吐き出してしまった。

「はぁはぁはぁ・・・」

「やっぱ初めてだからかな、量少ないな」

「な・・っ、あ、ごめ・・っ」

思わず耐え切れなくなって吐き出してしまった場所は、あろうことか山本の手のひら。

「いーよ、うれしいし」

けれど山本の手のひらを汚していたのは、自分が思っていたものではなく、





白い、





「どした?ツナ」

「・・俺、なんか、へんなの・・・」

「へんなの?」

「・・びょうき・・・?」

そこからそんなものが出てきたのは初めてで、こんな変なものが出てくるなんて、もしかしたら自分はなにか悪い病気にかかってしまったんじゃないかと思った。

「・・ぷっ」

それを聞いた山本は思わず吹き出してしまう。

「そっか。ツナ、こんなんするの初めてだもんな」

「・・・?」

「病気じゃないよ、ツナ。さっきみたいなことしたら、男だったら誰でも出ちゃうんだよ」

「山本も・・?」

「うん」

山本も出してしまうものなら、きっとこれは病気なんかじゃない。ホッと胸を撫で下ろした。







「・・・そんでさ・・・、俺もツナがさっき出したの、出したいんだけど・・・」







内緒話をするみたいに囁かれた山本の声は、低く、やけに大人びていてツナの身体をぞくりとさせた。











ツナは、性に対してまったく無知だといい。
2007.06.01
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