14:34 FROM たけし Subject 起きてるか?(笑) 今日もいつもの場所で待ってるな〜 17時22分、科学室の前で 放課後、誰にもバレないようにこうして二人で会うようになったのはいつからだろうか。 ツナは肩に学校指定のカバンを下げて、人の気配がまったくしない廊下を歩いていた。 そこは旧校舎と呼ばれる場所で、ちょうど一年前すぐ隣に新校舎が建てられて、今はもう誰もそこに足を踏み入れることはなくなった。とはいえ、そこを物置に使ったりしていたりするので、一概にそうとは言えないのだが。 『科学室』と書かれた教室の扉をツナはそーっと開ける。 「・・せんせい・・?」 呼びかけてはみるが、中からの応答はない。なんだいないのかと一息ついたとき。 「ツーナっ」 「!!?」 がばりとうしろから誰かが飛びついてきて、ツナは一瞬息が出来なくなった。 「びっくりした?」 「す、するよ!そりゃあ!」 見上げてそう抗議をすれば、人懐っこい笑顔を向けられた。 「わりーわりー」 まったく悪いと思っていないという風にその男は笑うと、ツナから離れる直前ぽんと頭を撫でた。 「ツナ、見つかる前に中入れ」 ぐいっとツナの手を引っ張って中へ入れると扉を閉める。 「わっ」 そうして扉と自分でツナを挟むと、ツナの顔の横に手を置きゆっくり顔を近づけた。 「せん・・っ」 言いかけたところで唇を塞がれた。 「・・二人きりのときは武でいいって言ってんだろ」 「だって・・、ここ、学校・・・」 「んな堅いこと言うなよ、ツナ」 囁くように言ってまた唇を塞いだ。 ツナの目の前の彼、山本武はこの学校の体育教師だ。この春この中学校に新しく赴任してきた。 年齢は24歳とまだ若く、長身で端正な顔立ちをしており、その上爽やかな笑顔と別け隔てない態度から、女生徒だけでなく男子生徒たちからも支持を得る学校一人気がある先生と言ってもいい。 ツナと山本がこうして付き合うようになったのは数ヶ月前。 ツナは運動神経というものがまるでなく、山本がツナのクラスの体育を受け持った初日から目につく生徒だった。最初はやる気があるのかと思ったが、実は他の誰よりも一生懸命で、その姿に山本はいつしかツナに目を奪われるようになった。 ツナはツナで、そういった他人からの好意というものにことさら鈍く、山本からの好意にはなかなか気づかなかったが、それでも他の教師の誰よりも自分を気にかけてくれる山本を、ツナも少しずつ意識し始めた。 二人の仲が深くなったのは、期末テストのあと。 どうやったら取れるのか、保健体育でツナは見事に赤点を取ってしまった。もちろん保健体育で赤点を取ったのはツナしかいなくて、そもそも保健体育で赤点を取る奴なんかいないだろうと山本は思っていたので、追試とかそういったものはまったく考えていなかった。 なので、仕方なく山本は、追試の代わりに体育教官室の掃除をさせることにした。 そこで山本は教師としてやってはいけないことをやった。 「まさか保健体育で赤点取る奴がいたとはな」 「べ、別に俺だって、好きで取ったわけじゃないです!」 「まー、平均点高かったしな」 「・・・あの、ホントに掃除するだけでいいんですか?追試とか・・・」 「あれな、問題作んの結構大変なんだよ。それとも追試してほしい?」 「い、いいですっ!」 「かわいいなぁ、ツナは」 「なっ!?てか、なんで名前呼び・・!?」 「ん?」 「な、なんで他の人は苗字で呼ぶのに、お、俺だけ名前呼び・・なんですか?」 「なんかなー、ツナって特別扱いしたくなるっつーか・・・、」 「・・・?」 「・・ツナはさ、今好きな子とかいないの?」 「はっ!?なっ、」 「もしいないんだったら、先生のこと好きになってほしいんだけど」 「な、なに言って・・!?」 「"山本先生"じゃなくて"山本武"の方で意識してほしいなって」 一生徒に特別な感情を抱き、さらに告白までしてしまった。 ツナはそれを聞いてから山本を避けるような行動を取った。けれどそれは山本が嫌いになったとか嫌悪感を感じたとか、そういう感情ではなくて、むしろその反対で、ツナも告白を受ける前までこっそり山本のことを意識していたからだ。 一方山本の方は避けられて決していい気分がするわけでもなく、それから何日か経ったある日、いつものように補習で教室に一人でいるツナを直撃した。別に振られてもいい、ツナの本当の気持ちが聞ければ。そう思った。 けれどツナの口から出てきた言葉は。 「沢田くんは今日も補習ですか?」 「!?や、やまもと、せんせ、い・・っ!?」 「年上の男をもてあそんで楽しい?」 「もて・・っ!?そ、そんなことしてないですっ!」 「あからさまに避けられると、こっちもいい気しないよ」 「・・・・す、すみません・・・」 「・・・じゃあさ、こないだ言ったこと忘れて」 「え・・?」 「一回りも違う奴から告白されても困るよな」 「あ、の・・、」 「ごめんな?困らせたりして。・・・これで元の教師と生徒な。もう避けんじゃねぇぞ?」 「せんせ・・っ、」 「じゃ、補習がんばれよ!」 「待っ・・、・・まって!先生!」 「ん?」 「お、俺、・・先生のこと嫌いになったから避けてたとか、じゃなくて・・っ、」 「ん、わかってるよ」 「・・あの、・・・よく、わかんなくて・・・」 「なにが?」 「・・・なんか、えと、・・先生のこと見てる、と・・・どきどきする、・・ていうか・・・」 「は・・?」 「あの、だから・・、先生に会ったら、どうしたらいいか、・・わかん、なくて・・・。緊張、するから・・・」 「・・・・ツナ、」 「だから、えと、・・・・ごめんなさ、」 「じゃなくて、」 「?」 「それって、・・脈アリってこと?」 「?みゃく、あり・・?」 それから、ツナがそれを恋と知るまで山本はゆっくり待って、晴れて二人は恋人になった。とはいえ、教師と生徒という関係である上に、男同士ということで公認の仲というわけではないのだが。 それでも山本はツナを愛し、ツナはそれに一生懸命応えた。その健気な姿がまたかわいくて、山本はツナを大事に大事に愛した。 「それじゃ他の奴らと同じだろ?・・特別扱いしてよ、ツナ」 そう囁いてまたツナの唇を奪う。今度は深く激しく。 「ん・・っ」 ねっとりと絡みついてくる山本の舌は、ツナの腰を震わせる。 「ゃ・・っ、だめ・・、せん・・」 「武、だろ?」 「・・やめ、・・たけ、し・・っ」 逃げても逃げても山本の舌はツナの舌を追いかける。捕まえられて絡みついて吸われて。山本の舌は柔らかく熱い。 「やめてってさ、ツナ、・・もうここ、こんなにして」 ふわり、ズボン越しに触れられてびくりと身体が大きく跳ねた。そこは触っただけでもわかるくらいに、自身を主張し始めていた。 「やっぱり中学生は元気だな」 「ば・・っ!」 「こんなんじゃ帰れねーだろ、ツナ」 「ゃ・・っ」 そうしてその小さな生徒は、目の前の教師に犯された。 ジジッ、とズボンのファスナーを下ろす音がやけに大きく聞こえる。 「・・や、だ・・っ」 「なんだよ、今さら」 確かに学校で行為を行うことは誰かに見つかる可能性もあるわけだし、ツナが抵抗する理由もわかる。けれど、もうすでに二人は"そういう関係"で、片手で数えるほどだが学校でそういう行為を何度かしている。 「だ、だって・・っ」 「ん?」 優しく尋ねるが、そこからツナのそれを取り出す行為はやめない。 「きょ、今日、体育・・あったもん・・・」 だから・・・汚い、し・・・、と言い訳してくるツナはかわいいとしか言いようがない。これが何度ツナを抱いても飽きない理由なのかもしれない。 「言われてみりゃ、ちょっと汗かいてるかもな」 耳元で囁いてそれを軽く握った。するとツナがぴくりと跳ねる。 「や・・っ、」 「別に汚くなんかねーよ」 「うぅ・・」 言われたところでやめるつもりもない。こんなに熱を帯びた小さな身体を放っておけるわけがないのだから。 「ツナはどうしてほしい?」 「ど、う・・?」 「こうやってごしごし擦ってほしいか、それとも舐めてほしいか」 そう言って軽く握っていた手をゆるく擦る。 「ひぁっ!?」 「してほしい方言ってみ?言われたとおりにしてやっから」 「ゃ・・っ」 強く山本を押したつもりだったが実際にはまったく効果はないようで、山本はぴくりとも動かない。 「な、ツナ」 こんな風に耳元で低く囁かれながらそこを限界まで扱かれるか、下から見つめられながらそこを食べられてしまうか、どちらにしても声が抑えられないに決まっている。 「・・それとも、ここ触られんのがい?」 「!?」 山本はシャツの上からツナの胸にある小さな突起に触れた。 「ゃ、だ・・っ」 男のくせにそこを触られ、そこだけの刺激で果てるなんて屈辱的な行為だけは嫌だ。 「早く言わねーと、放っとくぞ?もうそろそろ部活終わる時間だしな」 「や・・っ、」 「どうする?ツナ」 いつまでもこうしていてもしょうがない。自分のそこは山本にどうにかしてほしくて、疼いているのだから。 「・・・・て・・・」 「ん?」 「な、・・・なめて、・・くだ、さい・・・」 俯いて答えた言葉はまるで蚊の鳴くような声だったけれど、至近距離で聞いていた山本には十分に伝わった。 「いいの?俺ツナの口、塞げねぇよ?」 「あ、う・・」 言われて気づく。手でされるのなら、山本にキスという形ではあるが口を塞いでもらえたのに。 「じゃあ、声出さねぇようにな」 そう言ってツナに軽くキスを落とすと、山本はツナの前に跪いた。 「待っ・・、あぁっ!」 変更を申し出ようとするより早く、山本がツナのそれをちろりと舐めたので、ツナは思わず大きな声を出してしまった。 「バレるぞ、ツナ」 「う、あ・・待っ・・・ひぁ・・っ!」 慌てて口を両手で押さえた。 「お、危なかったな」 笑って、山本はまたツナのそれを舐めた。 「ん・・っ!」 誰も使っていない校舎ということもあってか教室の中は至極静かだった。ぴちゃぴちゃといやらしい水の音がツナの耳を支配する。時折聞こえてくる運動部の声だったり吹奏楽部の練習の音だったりがかすかに聞こえてきて、それでそこが学校だという事実を思い出させた。 そのたびに、背徳感がツナの身体を襲って、ますます射精感を煽る。 「ん、ふ・・っ!」 上から見上げたツナはやけに色っぽかった。両手で口を塞いで声を出さないように身悶え、上気した頬を涙が伝う。 その姿を見ていると、自分がなにか重大な犯罪を犯しているような気がした。とはいっても、10歳も歳が離れている時点で犯罪のような気もするが。 山本はツナのそれを丁寧に丁寧に舐めた。 「ん、ん・・っ!」 ツナに出会う前、山本はこっちの世界の人間ではないということは知っているけれど、この愛撫は今までの山本の経験値を物語っているようで、ツナはいつも胸の辺りがちくちくと痛んだ。 だけれど気持ちいいのは確かで、ツナは山本の愛撫に酔った。 「ふ・・、んっ・・!」 声を出したいのに出せない。腰ががくがくして、徐々に頭の中が真っ白になっていく。このシチュエーションと山本からの熱で、ツナの身体は限界に近づいていった。 「・・ツナ、もうイク?」 山本の問いに、ツナはこくこくと首を振る。その反応に山本はにやりと笑って、ツナのそれを再び口に含むと突然口をすぼめて勢いよく吸った。 「んっ!!?・・んんーーー・・っっ!!?」 その瞬間、ツナの身体に電流が走った。そのあとすぐに、ドクンドクンと二回に分けて山本の口内に己の熱を吐き出した。 山本はツナのそれを最後の一滴までキレイに舐め取ると、ようやく口を離す。するとそれと同時に、ツナがずずっとその場へ崩れた。 「はあはあはあ・・っ」 「気持ちよかったのな、ツナ」 耳元で低く囁きながら、零れる涙を拭ってやる。ツナはこくりと素直に頷いた。 そんなツナの頭を山本は愛しそうに撫でてやって、それから、ツナが落ち着くまでずっとツナの頭を撫でてやるのだった。 「ツナ、明日休み?」 ようやく落ち着いたツナに、山本はそう聞いた。 「?うん、だって明日、土曜日でしょ?」 落ち着いたとはいっても、まだ上気した頬はそのままで、山本は思わず欲情してしまう。 「いや、だっておまえ土曜日でも補習入ってたりすんじゃん」 「そ、そんないつも補習ばっかりしないよ!」 「あはは。ごめんごめん」 「てゆーか!今日のメールだって、ちゃんと起きてたよ!俺!」 「起きてたんか。えらいえらい」 赤い顔をして抗議してくるツナがかわいくて、山本は笑いながらツナの頭をぽんぽんと撫でた。 「子ども扱いするな!」 唇を尖らせて、ツナは山本の手を払い除けた。 「じゃあ俺んち泊まんね?」 「・・・?」 ?顔を返してきたツナの耳元にそっと唇を寄せる。 「先生もツナに気持ちよくしてほしいな」 「!!?」 こういうときだけ自分のことを"先生"と呼ぶ山本に、ツナは悔しくなる。それにぞくりと反応してしまう自分も。 「ツナ」 「うぅ・・、ずるい・・・」 ふと遠くの方で最終下校を告げる放送が流れ始めた。 「もうそんな時間か・・。ツナ、立てるか?」 「あ、・・」 立ち上がろうとしたツナの手を取る。多少腰は落ち着かないようだが、無理をしなければ自力で歩けるようだ。 「今日は一緒に帰ろうな?」 「へ・・?」 「どうせ俺んち来んだし、な?」 「でも・・っ、」 バレたりしたら、いやだ。武と離れ離れになるなんて、考えるだけで、こわい。 「大丈夫だって。おまえ男だしな」 変な誤解はされねーだろ、と笑いながら頭を撫でる。 「・・それに、もしバレても、ツナは俺が守るから」 それからぎゅっとツナを抱きしめた。 「たけし・・」 「帰るぞ」 にこりと微笑んでツナの小さな手を取った。 来週もこの場所で、 きみと会おう。 二人だけの、 秘密のこの場所で。 |
無駄に長くてすみませんでした。 |
2007.08.11 |