おとこのこはすきなこをまぶたのうらにそうぞうすると、よくじょーしてしまうんです。





まさか自分がそっちの世界の人間だったとは。だからって別に誰でもいいわけじゃない。

ただ一人、あの子だけ。





やまもとたけしはさわだつなよしをまぶたのうらにそうぞうすると、よくじょーしてしまうんです。





どーしよーか、俺。ツナとやりたいかもしんない、まじで。









夏の日、君と。








「・・やまもと?」

そこでぷつりと思考が切れた。目の前に現れたのは、さわだつなよし。まさにその人。

「ツナ・・・」

「あの、・・どうしたの?」

「なにが?」

「なんか、ものすんごいこわい顔してたから・・・」

「してた?」

「うん。びっくりするくらい」

話しかけようかどうしようかすごい迷ったもん、とツナは眉を八の字にして困ったように笑った。

あぁどうしよう・・・。その顔もたまんない。

「そっか。わり」

「ううん。・・でもホント、迷惑なら帰る、けど・・・」

そうだった。ツナは今俺んちで一緒に夏休みの宿題をしてるんだった。

誘ったのはもちろん俺。でも山本の家でやろうって言ったのはツナ。

なんて大胆なんだと思ったけど、実のところツナいわく、「俺の家に来たら夏休みの宿題どころじゃなくなって子守しなきゃいけなくなるから」らしーけど。俺んちでも、ある意味"夏休みの宿題どころじゃなくなる"けどなぁ。あぁ、そりゃ俺だけか。

「いや、帰んなくていーし」

てか帰んな。せっかくの二人きりなのに。

いつもツナにひっついてる獄寺は今日はいない。実家に帰ってるとかで、あいつもたまには空気読めてるなーと思う。ホントたまにだけど。

「でも・・、」

「ちょっと考えごとしてただけだから、マジで」

なんで俺こんな必死になってんだろ。かっこわる。

「そう?」

「うん」

「ならいいけど・・・」

「ちょっと休憩しねぇ?」

この頭を一回冷やさねーと。なんかもうダメだ、いろいろ。

「うん」

「ジュースぬるくなっちまったし、なんか冷てーもんでも持ってくんな」

「え、別にいいのに・・っ」

「いーからいーから」

きっとそうだ。普段なかなかなれないツナと二人きりってしちゅえーしょんがダメなんだ。しかも俺の部屋でなんて。いやらしー想像しか浮かばねーじゃんか。







しかしどーすっかな・・・。俺もう結構やばいんだけど。頭も身体もぜんぶ。

「ツナがかわいーのがいけねーよな」

20センチも差がある身長だとかやわっこい髪の毛だとか困った表情をよくする童顔な顔だとかすべすべで気持ちよさそうな肌だとか全体的に細い身体だとか。

なんつーか、もう全部ツボ?俺の好きなタイプはツナみたいな。そんぐらい好き。

ツナは誰のことが好きなんだろーな。やっぱ笹川?もしあの二人が付き合ったとしたら、そりゃもうかわいらしーカップルになるんだろーけどさ。でも付き合うってことはあれだよ、手つないだりとかちゅーとかしちゃうわけで。

たとえばそーゆー場面になって、ツナが突っ込むとかそんなん考えらんねーよな。どっちかっつーと、突っ込むより突っ込まれる方?とか。

「・・・って俺、なに考えてんだろ・・・」

思わず、突っ込まれるツナを(というか俺の下で喘ぐツナを)想像してしまった。

きっとあれだ。この暑さがいけねーんだ。早くクーラーの効いた部屋に戻ろう。







「ツナ」

「あ、山本」

「アイス持って来たけど、食う?」

「いいの?」

「ん。抹茶しかなかったけど・・・。食える?」

「うん。ありがとう」

ツナって子犬っぽいよな。なんつーか、かわいい。

「クーラーの効いた部屋でアイス食べるって、ぜーたくだよね」

スプーンにすくわれた抹茶味のアイスがツナの小さな口の中に運ばれる。ツナの口ん中って、やっぱやわっこくて熱いんだろーか。

「・・・山本?アイス溶けるよ?」

「あぁ・・」

ホント、もうどーかしてるよな・・・。

だけど、ツナにさわりたい。ツナにさわってほしい。

夢の中のツナとしたことぜんぶ、この目の前のツナとしたい。





やまもとたけしはさわだつなよしをまぶたのうらにそうぞうすると、よくじょーしてしまうんです。





「・・・クーラー効いてるはずなのに、おかしいな・・・」

「?なんか言った?」

「どうしようか、ツナ」

「なにが?」





「俺と一夏のあやまち、おかしてみませんか?」





「?」

そっと重ねたツナの唇はやっぱりやわっこくて。アイスのせいでつめたくて、ちょっとだけにがかった。







このあとの展開はみなさまの脳内補完で。
2007.06.08
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